ウォークマンもMDも、ましてやiPodなんかなかった時代、あらゆるオーディオ機器のなかで最も「ポータブル」だったラジオ。洋画家・宮崎次郎は中学生のとき、電気店で見つけた黒光りするラジオに釘付けになったという。BCLといって、短波の国際放送を聴くのが流行ってた頃で、海外旅行ブームもあって、日本人が外国を近くに感じはじめた頃。しかし宮崎さんが衝撃をうけたのはこのデザイン。特にソニーのスカイセンサーとナショナルのクーガの熾烈な開発競争は凄まじかったという。
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ちなみに1972年から76年までの短期間にスカイセンサーは10以上のモデルが発売されている。当時の価格は一台2万円以上。とても中学生に買える金額ではない。このコレクションは大人になってから実現した夢。
「これは長・中・短波5バンド聞けてさらにカセットレコーダーがついた画期的な機種、こっちはテレビつきのラジオ、これは完全防水でプールに浮かべて聞けるという…」と夢中で話すが、現在はコレクションはストップ。というのも奥さんに強く反対されたから。「目を覚まされた」のだという。
みやざき・じろう 洋画家
買ってきた中古ラジオを一度分解して磨くのが大変だが楽しい時間だという。
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