宮崎次郎は20年も前から、テンペラ画法というとても手間のかかる描法で作品を制作していた。人間、風景、建物をその存在の深みから描こうとしたのである。
その後、日動画廊の昭和会賞を受賞し、さらに文化庁派遣芸術家在外研究員としてパリで研鑽するころから色彩は明るくなり、人物の表情も豊になる。
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2008年度カレンダーの近作シリーズは、彼が得意とする道化師、サーカス、遊園地、動物、花、豪華客船などが精緻に描かれ、それぞれが愉快な物語のはじまりを予感させて楽しい。彼の遊び心、笑い、ユーモアの横溢するファンタジーの響宴である。
彼のアトリエの一角には、未完成とはいえ彼の内面的精神世界を追求したと思われる静謐な教会、パリ風景、街角、青年像の絵が並んでいて、彼の絵のさらなる未来が予感される。(宮脇 修)
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