Antico Cafe JIRO
















わがテーマは「哀愁」
さいたま市の宮崎次郎さん(45)は、サウダードという言葉をモチーフに描く画家だ。たそがれ時のサーカス、旅芸人、カフェ…。シュールレアリスムの技法で、幻想的な世界を作り上げる。
サウダードは、ポルトガル語で郷愁や哀愁などを意味する。一人旅の孤独感や祝祭後に感じる寂しさなどを表すという。
61年、旧浦和市生まれ。「医師の両親に反発」して絵を始めた。中学時代に同じく浦和に住んでいた故・渡辺武夫画伯から手ほどきを受けた。


エスプリとユーモア" 大学時代は、世界中を放浪し、8年間在学。「自分の居場所を見つけようとしていました」
卒業後、細々と個展を開いていたが、91年に画商に初めて絵を買ってもらい「背筋がしゃんとした」。97年に渡仏。現地で見た、少数民族ロマのサーカスが、サウダードをテーマに据える引き金になった。「放浪の哀愁、芸人の悲哀を描こうと」
絵には幼少期の浦和の記憶も入り交じる。「中山道や裏門通りに個人商店や古い路地があった。お勝手でやりとりする御用聞きとお手伝い。濃密な人間の気配があった」
1年で約70点。寡作だが、「気持ちを絵に塗り込める」ため時間がかかるという。(木村尚貴)

「朝日新聞」 2007年 4月12日(木)13版「ひと彩々」
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宮崎次郎