寓話の世界をときにはシニカルに、またときにはファンタジックに描く洋画家・宮崎次郎。その海上展覧会が開かれた。商船三井客船が運行する客船「にっぽん丸」は、日本でも有数のクルーズ客船。180以上の客室、サウナ、カジノ、バー、映画館、アロマテラピーまで設置され動くホテルといってもいい。
その船内に設置されているのが「にっぽんまるギャラリー」。7階まである船内のうち5階のイベントホールへと通じる廊下の壁面を展示スペースにしたもので、企業メセナとして有望な美術家に解放している。
一般のギャラリーと違う点は、第一に船という閉じた空間にあるため、普段は絵に縁遠い人達の目にも触れられるということ。第二に展示期間の長さ。クルーズによっては数週間から数ヶ月にも渡るため、展示期間が3〜4ヶ月ものロングスパンになっていること。 |
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宮崎次郎展も昨年9月から今年1月まで、実に足かけ5ヶ月の展示。その間には、11日間の台湾一周クルーズやグアム・サイパンクルーズ、横浜を出発して平戸・防府をめぐる6日間のクルーズなどを経験。一生の思い出を作りに来た夫婦や、船旅の常連客たちの目を楽しませた。
しかしクルーズ客船に乗船できる人数は限られており、多くのファンの目に触れることがないため船内での展示を再現し、広く一般の人にも楽しんでもらおうと商船三井客船の後援で、銀座・ごらくギャラリーを会場にその再現展示が企画された。
1階ににっぽん丸ギャラリーに展示した油彩と挿絵など約20点を展示するほか、2階には新作の小品も発表する予定。宮崎次郎の新たな船出として、またちょっと変わった展覧会として期待したい。
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