Antico Cafe JIRO
















宮崎次郎 画集刊行記念展「サォウダード」

会期/2004年11月15日(月)〜12月4日(土)
会場/ごらくギャラリー


ごらくギャラリー記録1 >>
「夕焼けの曲芸師」
「夕焼けの曲芸師」 2004


宮崎次郎君の個展に寄せて

 宮崎次郎君を知ったのは、美校時代の親友故渡辺武夫さんからでした。渡辺さんの卒業後、間もなく描いた「診察室の宮崎先生」、第六回文展の特選の作品は宮崎君の祖父で診察室の中の肖像ですばらしいものでした。お父様もお医者様、家系から云ったら句論医者になる筈でしょうが、何故か画家の道を選びました。
 その道を選択したのは宮崎君が、「診察室の宮崎先生」の作品に感動し触発されたのではないかと私は密かに想像しているのです。
 作品を拝見するようになったのは、日動画廊の主宰する新人洋画家の賞のグランプリ、昭和会賞を受賞されてからの作品です。それから文化庁派遣芸術家在外研修員として渡仏され、その後パリに行ったり、帰国したり、その都度個展を開きナイーブな彼の何処にあるのかと思えるような粘り強いエネルギッシュな作品は、心にいつも問題意識を持った魅力のある作品でした。
 宮崎君は、自分のカタログにこんなことを云っている。「シュール的絵画で、自分は世の中の別の面というか、人間を通常とは別の角度から見ることでそれを揶揄したり皮肉をこめて表現してきました。若い頃はそれでやってきましたが、しかし、それは非常にエネルギーが要ることなのですね。歳を重ねていくと、そうした力ずくの作品というのは難しくなってくる。精神を切り詰めたり懸命に何かに立ち向かうだけではなく、むしろ今、自分が描きたい作品を描きたくなってきたわけです」とあり、リラックスして描くことが出来るようになったのはそれは前進だと私は解釈しています。
 宮崎君の作品は、人間(それは自分)と自然との対話から始まっている。太陽、月、動物、鳥類、花、宇宙、大地、家屋、サーカス、それらに彼の優しい愛情が大きく包み込み、平和への願望、ユーモア、哀愁、機知、機械文明の中で忘れかけた人間のモラルと不思議な寓話の世界を表出する魅力を感じます。
 渡辺武夫、中根寛、両先生に叩き込まれたデッサンを軸に、人間とは心の問題を自由な発想で君自身の表現で展開するのを、私は心から楽しみにし、期待しています。
 ご健康とご発展をお祈り申し上げます。

                萩 太郎
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宮崎次郎